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【特集】通訳に聞く
(序)英語の回路とは----英語脳とは?
(1)英語で考えるとは----通訳する時はどのように考えているのか?
(2)シャドウイング編----最近話題の通訳訓練の一つ
(3)日本語から英語に変換するポイント編
(4)主語について----主語を言い換える
(5)動詞について
(6)チャンク編----英語は言葉のかたまりのチャンクで構成されています。
(7)発音編----英語と日本語の発音の違いについて。
(8)リスニング編 ----どうすれば、リスニングの力を伸ばすことができるか?
(9)チャンクの法則
  語順とチャンクの関係/不定詞=名詞を修飾 /不定詞=名詞として使う / 不定詞=副詞として使う / 分詞について / 関係代名詞
(10)発音の基礎を確認しましょう

英語の回路とは?

今まで、バイリンガルの方や通訳の方の話を聞いてきて、わかったことは、彼ら
の頭の中には英語の回路が出来上がっているということです。
たとえば、英語を聞いたときの理解の仕方を考えると

◆英語初心者 英語→日本語の語順に変換→日本語で理解

◆バイリンガル君 英語→英語の語順のまま理解してイメージが湧く

では、一体、この違いは何でしょか?
ある通訳の方の頭の中にある世界を見てみると、次のような感じでしょうか。

・英語の語順になれている
・基本的な構文がインプットされている
・まるで引き出しのように、様々な言い回しが自由に取り出せるようになっている

今まで、このマガジンでは語順ということにポイントを置いて説明してきました。
特に修飾語の場合は<名詞+修飾のフレーズ>であると考えて、そのパターンは

名詞+不定詞のフレーズ
    something <to drink>(何か飲むもの)
名詞+現在分詞のフレーズ
    a house <facing the south>(南を向いている家)
名詞+過去分詞のフレーズ
    a mansion <surrounded by trees>(木に囲まれたマンション)
名詞+前置詞のフレーズ
    a man <with plenty of money>(大金持ちの男)
    the day <before yesterday>(おととい、一昨日)
    the day <after tomorrow>(あさって、明後日)
名詞+関係詞のフレーズ
    the book <(which) you want>(あなたが欲しがっている本)

上のようなフレーズが「言葉のかたまり=チャンク」となって頭に浮かび、それを
つなげていくことが英語の回路を作る一助となると、私は考えています。

日本人が英語に苦労するのは、この語順の違いが大きいと思いますが、今日はその
ことを通訳のyumiさんに質問しながら、考えてみたいと思います。

------ 今日はYumiさんが英語を習得した過程を聞きながら、「英語の回路」の謎
        に迫ってみたいと思います。
        今、本屋に行くと膨大な参考書がありますが、一体何から勉強すればいい
        のでしょうか?

yumi   本当にすごい量の本が出ていますね。ちょっと気になるのが、○週間で話
        せるようになる、みたいな安易な考え方ですね。言葉というのは、頭の中
        定着させなければなりませんから、やはりある程度の繰り返しと時間が必
        要になると思います。

------ なるほど。その辺をもう少し詳しくお願いします。

yumi   私の今までの経験から言うと、ある程度の基礎的な文法が大事です。でも
        それは単なる知識ではなく、構文のように、英語の言葉のパターンを知る
        ということですね。その上に決まり文句になっている日常で使うフレーズ
        を身に付けることも大事です。

------  スラングも含めてですか?

yumi    英語を聞く場合は、やはり基本的なスラングを知らないといけませんが、
        話すときは避けたほうがいいと思います。順序としては、まず、自分の意
        見をきちんと表現できるようになることが大切だと思います。
        それにアメリカ以外では通じないものが多いです。いまや、英語は世界の
        共通の言語として、多くの国で第二言語として使われています。アメリカ
        は第一言語ですから、それだけ表現も多岐にわたっていますが、第二言語
        として使われている国では、やはりそれだけ制限がありますね。

------ それは私も感じます。日本人はあくまでも第二言語として英語を習うわけ
        ですから、別にアメリカ人のように話せなくてもいいのではと思っていま
        す。というのは、シンガポールの中国語を第一言語としている人たちは、
        「英語は他国の言語なんだから、うまくなくて当然、自分の意志を伝える
        ることができれば十分」という感じで、非常に割り切ってますね。だから
        多少、間違っても、堂々と欧米人と話してます。

yumi   そうですね。堂々さは大事ですね(笑)。
        今、アジアでは英語は第二言語として定着しています。新聞も大体、母国
        語の他に英字新聞が普及してますから、日本と違って使う頻度が非常に高
        いですね。

------ よく、使う頻度が少ないから、日本人の英語は上達しないと言われますが
        決してそれだけではないですね。
        実はある学生さんからメールをいただいたんですが、その方はピジン英語
        とクリオール英語の研究をされていて、日本人の英語はピジン英語だとい
        うことなのですが・・・・

yumi    以前、私もそれに関する本を読みましたが、簡単に説明すると、第二言語
        として話され、現地語の影響をうけている英語でも、文法的に土台がしっ
        かりした英語を「クリオール英語」と呼ぶそうです。
        これは欧米人にも十分通用しますが、「ピジン英語」は文法的に間違いが
        多いため、欧米人が理解するのは難しいということです。
        (参考:「英文法の謎を解く」副島隆彦著 ちくま新書)
        
------ この違いがどこから来るかというと、その現地語の文法が英語に近いか、
        遠いかということが影響しているんですね。
        つまり、以前にも話題になったように、日本語の文法があまりにも英語と
        違うため、日本語から英語への置き換えが非常に困難だということですね。
        ところが、アジアの他の言語は日本語よりは、英語に文法的に近いため、
        母国語から英語への置き換えが、日本語より簡単だということですね。

yumi   そうですね。だから、英語の習得も早いですし、思考の流れが近いから、
        頭に浮かんだことをそのまま英語に置き換えることもできるのだと思いま
        す。

------ ちょっと話題がずれてしまいましたが、だからこそ、日本人は英語の語順
        を頭に定着させることが必要ですし、その分苦労するということですね。

yumi   別な言い方をすると、日本語の経験を利用できないということですね。
        でも、いくつか言い方が英語に近いものもありますね。
        たとえば「何が彼をそうさせたのか」という言い方などは、英語の
        What makes him do so?に近い表現ですから、置き換えが可能ですね。

-----   たしか、夏目漱石などが、そういう英語的な日本語を多数使っていると何
        かの本で読んだのですが・・・・

yumi    へえ、そうですか? もしかしたら「何がさせた」というのも英語からの
        輸入かもしれませんね。

-----   話を戻すと、英語と日本語は文法があまりにも違うため、つまり語順が違
        うため、基礎的な文法や構文をマスターする必要があるということですね。

yumi    大事なことはそれを頭に定着させることです。私の場合も、はじめはバラ
        バラだった文法や構文などが、だんだん関連し合い、結びついてきたとい
        う感じですね。
        話す場合も、はじめは単語をつないで話していたのが、フレーズを使って
        話せるようになり、やがてセンテンスとして言葉をつなぐことができるよ
        うになりました。
        ただ、そこに行くまでには私の場合、繰り返しと映画やテレビの英語の口
        真似、やはりある程度の時間が必要でしたね。

-----   よく、最低3年と言いますね。私の友人の中国人は英語、マレー語、日本
        語を自由に話しますが、やはり、それぞれ3年は必死に勉強したそうです。
        やはり日本語が一番大変だったと言います。

yumi    日常の決まり文句も、基本は同じで、構文が省略された形であったりしま
        すから、基礎ができていれば、結びついていきますが、ただ暗記だけして
        いるとなかなか記憶が定着しない気もします。

-----   なるほど、よく、「記憶は関連づけられたものほど残る」と言いますが、
        英語の場合もそうですね。
        では次回は通訳の訓練のシャドウイングなどについて聞いてみましょう。


------ 日本語に訳さないで英語を英語のまま理解できるようになるための練習は
        ありますか?

yumi   一番効果的なのは、シャドウイングです。フォローアップとも言います。
        これは同時通訳の訓練の一つですが、今では、一般の方もよく取り入れる
        ようになりましたが・・・
 
------ 要するに、英語を聞きながら、そのまま聞いた通りに復唱する練習ですね。

yumi   私はシャドウイングを知らない時から、よく聞いた英語を真似していたん
        ですが、それが良かったみたいです。
        基本は集中力だと思います。シャドウイングをすると嫌でも集中しなけれ
        ばできませんから。

------ 私も何度か挑戦しましたが、はじめは大変ですね。口は回らないし。でも
        たしかに、きちんと英語を聞く訓練になりますね。
        私は、実にいい加減に、冠詞も無視して、聞き取れた単語から、類推して
        聞いてることが分かりました(笑)。
        集中するというのは、別な言い方をすれば、日本語に訳す余裕がないとも
        いえますね。

yumi   そうですね。特に日本人は日本語に訳す癖がついているので、少し強引に
        聞いた語順のままで理解する習慣をつけなければなりませんね。

------  ただ、初心者がいきなりシャドウイングはできないと思うのですが、何か
        初級レベルの人にアドバイスはありますか?

yumi   私の経験から言いますと、まず、英語の音読をしかっりやることが大事で
        すね。できれば、その音読している英語のイメージが頭に浮かんでくるく
        らい、繰り返して欲しいですね。私も教材をいつも音読していました。

------ 私も一時期、シンガポールの元英語の先生について、マンツーマンで音読
        ばかりしていた時期がありましたが、その先生が読むと、すごくリズムと
        強弱があって、朗読のようでした。
        何度も音読を繰り返すと、自然に意味の切れるところが分かるようになっ
        て来ました。

yumi   とにかく教材は必ず音読すること、それも感じを込めて音読することを心
        がけるだけでも随分違いますよ。
        音読にしても、シャドウイングにしても、読んだ分だけ、繰り返した分だ
        けしか、身につかないと思ったほうがいいです。
        シャドウイングを繰り返していくと、はじめは復唱するだけで精一杯だと
        思いますが、それを繰り返していくと、英語を頭から理解していくことに
        慣れていきます。

------ 聞きながら書き取っていくディクテーションも同じ原理ですね。

yumi   書き取るのは、聞き取りをより完全なものにしていくためのものですが、
        英語を聞く場合は読む場合と違って、どんどん言葉が流れていきますから
        一瞬の間、その単語を記憶しなければなりません。書き取ることによって
        その訓練ができるんです。

------ 意味の区切りに注意を払うことも大事ですね。

yumi    音読でもそうですが、気をつけなければならないのは、英語は単語と単語
        の固まりのチャンクで構成されていますので、そのチャンクの単位で聞き
        取り、意味を取るようにしなければなりません。

------ そうですね。私も音読ばかりやっていたときに、そのチャンクの単位で読
        むということが分かってきました。

yumi   あとは、リズムとアクセントをはじめは大げさにしていくことですね。
        私たちが思っている以上に、リズムとアクセントは大事ですから。

------ アクセントやリズムがないと、ネィティヴには本当に聞きづらいみたいで
    すね。



------ 今までの内容を簡単にまとめると、英語の回路を頭に作るには、英語の基
    本を定着させることが大事で、それが頭に定着してくると、文法や構文な
    どがすべて結びついてくる。
    そしてその英語の基本を定着させる方法は繰り返し声に出して練習するし
    かない。音声にして出すことが大事で、初心者は音読をしっかり行い、そ
        の後、シャドウイングなどに挑戦して、英語の語順・発想を身につける。

yumi   そうですね。とにかく声に出すことが大事です。子供も、大人の会話を声
    を出して、真似をして覚えていくのですから。

------ よく、英語を話す機会がないと嘆いている人もいますが、シャドウイング
    をやれば、模擬練習になりますね。
    シャドウイングの教材は何がいいですか?映画とかニュースとか。

yumi   私は映画が好きだったので、英語を教材にしていましたが、映画は台詞が
    意外と少ないんです。それに比べると、テレビドラマの方が台詞も多いし
    日常会話が中心ですから、テレビドラマの方が良いと思います。

------ そうですね、日本のNHKでも沢山放映していますし、台詞のスクリプト
    もインターネットで一部手に入るようですし。
    ほかに初級レベルの人に合った教材はありますか。

yumi   ラジオ講座は非常に充実していると思います。最近はCD化されているの
    使いやすいですね。
    私のお勧めは、ラジオ英会話の最初に出てくる1分間トークをまとめた
    「What's New?」(DHC出版)ですね。シャドウイングの入門には良いと
    思います。
    それと、少し慣れてくれば、「NHKやさしいビジネス英語」のCD版も
    会話のシャドウイングには最適です。

------ やはり、英語は口真似が一番ということですね。

yumi   これは私の考えですが、英語には大きく2つあって、1つは日常会話で、も
    う1つは自分の意見の主張です。
    日常会話は、ああ言えばこう言う、こう言えばああ言う、という言葉の掛け
    ですから、習うより慣れろの世界です。考えてしゃべるというよりは、条件
    反射みたいな。これはやはり、口真似して、口に覚えさせるしかないです。
    それに比べて、自分の意見を主張する場合は、論理的思考が必要になります。
    きちんとした論理の展開の仕方を学ばなければなりません。
    今の日本人に本当に必要な部分はこの自分を主張する英語だと思います。
    国際会議などを見ても、通訳を使っているのは、主に日本人です。アジアを
    見ても、ほとんどの国の政治家は英語でスピーチができますから。

------  いきなりシビアなテーマになりましたが、たしかにそうですね。そういう英
    語を身に付けるにはどうしたら良いですか?

yumi   私の経験から言う、良質の英語を沢山読むことですね。英語のリズムに慣れ
    てくると、黙読か小声で読んでも、リズムをつかめると思います。
    とにかく沢山読んで、その英語の表現を少しづつ自分のものにしていくこと
    だと思います。

------ やはり多読ですか。でもこれはできそうでできないですね。

yumi   まずは、自分の趣味に関することなど、好きなものからで良いと思います。
    小説でもいいですし、雑誌でもいいですし、マンガでもいいと思います。
    そしてそこから、自分の好きなフレーズを覚えて使ってみる、メモしておく
    とかして色々な表現を身に付けていくしかないです。

------ There is no royal road to learnning a language. 語学に王道なしですね。

yumi   気をつけてもらいたいのは、初めはひとつの文章を繰り返し読んで、声に出
    して、それを自分の言葉にできるまで繰り返すことです。できれば、暗誦で
    きるまで繰り返すことが大事です。そうしないと、いくら多くの英文に接し
    ても、それを使えるようにはなりません。

------ 私もyumiさんのアドバイスでいくつかスピーチを暗記するまで読みましたが
    そこに出てくる表現は自由に使えるようになりました。
    何十回と読んでると、自然に暗記してしまうものだということもあらためて
    実感しました。

yumi   お疲れさまでした(笑)、そうやって、言葉と自分の感情が一致してくると
    英語が自分の言葉になっていくことを感じれるようになると思います。

------ その言葉のイメージを感情とともに理解できた時が、英語の回路ができた時
    なのかもしれませんね。

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